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***  翌週の木曜日。  わたしはいつもより早目に放送室に向かった。  放送部室の前に置かれた、大きな投函BOXの蓋を開けてみる。  …よし、一番乗り。  箱の中には、まだたくさんの投稿用紙が入っていた。  用紙を抱えながらドアに向かい、一応、コンコン、とノックをしてみる。 「はい」  あれ。…誰かいる。  ドアをよいしょ、と開けると、更科ミツルがテーブルで雑誌を広げていた。 「おつかれさま、先輩」 「…おつかれさま」  足を踏み入れるかどうか迷っていると、更科くんはくすっと笑って、 「怖いの?俺のこと」 「……」  わたしはむっとして、黙って部室に入り、ドアを閉めた。  わざと乱暴に荷物を置いて、更科くんから一番遠い席に着く。  突然、更科くんが吹き出した。 「あはは。…わっかりやすいな、萌ちゃん」 「…ちょ、ちょっと…」  わたしは精一杯平静を装って、 「一応先輩なんだから、勝手にちゃん付けしないで」 「…わかったよ」  更科くんはにっこり笑って、 「萌」 「……」  わたしは更科くんからぷいと目を逸らし、投稿用紙に目を落とした。
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