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「いいか。恋パラの原材料はな、包容力8割、知識と経験が1割、妄想1割、そしてほんの少しのスパイスだぞ」
「それは知りませんけど」
更科くんはさっさと流して、
「田辺先輩とは客層が違うんですよね、俺の場合」
「何だよ、客層って」
「俺のベクトルは、まっすぐに年上の女性に向いてますから。フジコ先生とか、ゆかり先生とか」
「バカ、ターゲットはフツーに高校生だっつーの。校内放送なんだからさ。
勝手に狭いとこ責めるなよなあ」
「先輩、分かってないなあ。時代はニッチですよ、ニッチ」
「ニッチ、…って、なんだよ」
「後でググってください」
「ググ…?」
「…もういいです。…ねえ、椎名先輩」
ばっさり切り捨てられた田辺くんは、むっと下唇を突き出した。
「なに?」
「明日、春山先生が連れてくる子…めちゃめちゃ可愛いですよ。先輩に負けないくらい。
…がんばってくださいね」
「…え」
更科くんは意味ありげに笑い、テーブルの上のポッキーを抜き取った。
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