月に梔子

6/8
前へ
/8ページ
次へ
例え1ミリたりとも俺たちの間に隙間を作りたくなくて、俺は笙子をきつく抱き締める。 だけど、どこからともなく二人の間に砂は入り込んできて、完全に二人が溶け合うことはできないのだと思い知らされる。 笙子が昇り詰める度に甘く濃くなるくちなしの香りは、俺の理性を狂わせる。 噎せるような花の香りの中、俺は口には出せない笙子への想いを吐き出した。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加