第6話

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聞こえる声にまぶたを開けると、優しく笑う凌の顔が見える。 ゆっくりと動き始める濡れた唇。 それをじっと見つめていたら、彼の声が聞こえてきた。 「セックスはあくまでオマケで、俺は美穂が欲しいだけたから」 「……はい!?」 想像していたセリフと全く違うものだから、流れてた涙まで引っ込みそうになる。 「だから明日見送らなくていいって言ってる訳じゃないから」 「……」 ここまで言われて、彼のいいたいことが理解できて、美穂はふっと表情を緩めた。 彼なりの気遣いは他の人とは違うけど、それを嬉しく感じてしまうのは彼に染まってきたんだろうか? そんなことを考えていると、「あと……」と続くから美穂は首を傾げた。 「それ、ごめんね。君に傷つけちゃった」 「……?」 そんな覚えなんてまるでなくて、不思議そうに見つめる美穂に凌は悪びれることなくニコリと笑う。そして、 「ここ。いつか消えるけどまた付けに帰るよ」 トンっと胸元を指先でつつかれて――。 「あぁ――!!」 夏の夜、美穂の叫び声が響いた。
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