第6話

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カタカタと鳴る下駄はまだぎこちない。 だから歩くスピードはいつもよりゆっくり。 「やっぱりいいね、女の子の浴衣姿って」 「……女の子なら誰でもそう思っちゃうんですね」 「もしかしてまだ拗ねてる? さっきのナンパは本当に向こうからいきなり声掛けてきてね」 「拗ねてないし、ちゃんと分かってます」 分かってる、けど……。 「向こうでもナンパされちゃうんでしょうね」 「え?」 小さな呟きに聞き返す凌の声。だけど美穂は繰り返したりせず、 「なんでもないです」 と答えて、代わりに彼の手をぎゅっと握った。
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