1674人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
お宮まで上がってお賽銭を投げかけたら、両手を合わせて願い事。
だけど、何を願えばいいのか。
ずっと一緒に居れますように?
彼はもうすぐアメリカに行ってしまう。
なら、外の女の子に目が行きませんように?
なんて、まるで彼を信じてないみたいだ。
だったら何を――?
それが分からなくて、美穂は目を開けた。
隣を見上げると、
「何お願いした?」
彼は終わったらしく、美穂を見て微笑んでいた。
「……先輩は何お願いしたんですか?」
知りたくて聞くとニコリと笑う。
「美穂が志望校に受かりますように」
「あ……、そっか」
彼のセリフに自分もそのお願いをすれば良かったと思ったけれど、もう人の波に流されて境内の外。
「美穂は?」
「え?」
「何お願いしたの?」
そう聞かれて、
「……同じです」
と、笑って誤魔化した。
最初のコメントを投稿しよう!