第6話

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お宮まで上がってお賽銭を投げかけたら、両手を合わせて願い事。 だけど、何を願えばいいのか。 ずっと一緒に居れますように? 彼はもうすぐアメリカに行ってしまう。 なら、外の女の子に目が行きませんように? なんて、まるで彼を信じてないみたいだ。 だったら何を――? それが分からなくて、美穂は目を開けた。 隣を見上げると、 「何お願いした?」 彼は終わったらしく、美穂を見て微笑んでいた。 「……先輩は何お願いしたんですか?」 知りたくて聞くとニコリと笑う。 「美穂が志望校に受かりますように」 「あ……、そっか」 彼のセリフに自分もそのお願いをすれば良かったと思ったけれど、もう人の波に流されて境内の外。 「美穂は?」 「え?」 「何お願いしたの?」 そう聞かれて、 「……同じです」 と、笑って誤魔化した。
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