第6話

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『すぐって、いつ?』なんて聞けるはずがない。 渡航費用だって安い訳じゃない。 今回は偶然とか、運がよかっただけ。 それがちゃんと分かってるから、美穂はもう何も言わず俯いて、繋がれた手をギュッと握った。 握り返してくれる力に視界がぼやけてくる。 マンションに着けばそれでお別れ。 そんな状況で泣かないなんてのは無理だから――。 「泣かないで、美穂」 「……っ、泣いてなんか」 「じゃ、これは汗かな?」 彼の両手が美穂の両頬を包んで上を向かせる。 「……夏ですから」 「そうだね」 キスは頬を流れる涙に。 「うん、しょっぱい」 「馬鹿……」 「また連絡するから」 「はい」 また、ネットを使ってしか会えない。 こうして交わすキスも、触れることすら出来なくなる距離になる。 「あのね……」
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