第6話

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見送りは下のロビーまで。 「それじゃ――」 「明日はどうしよっか?」 「え?」 「全日本の練習には参加するけどね、その後は暇なんだ。でも君は受験生だし、デートに誘って良いか迷ってるんだけど」 「……それは」 出来るだけ一緒にいたい。 期限があるなら余計でもそう思ってしまう。 だけど、受験生なのは確かだし予備校もあれば部活にだって顔は出したい。 だから、 「一緒に図書館、とか」 「ん?」 「それで勉強見てもらえたら、嬉しいです」 ひどく控えめなデートのお誘い。 でもこれが彼女の精一杯だと知ってるから、 「うん、家庭教師ごっこだね。たまには変わったシチュエーションも」 「ごっこってなんですか!?」 「え? よくあるプレイでしょ?」 「意味分かりませんって!」 「図書館デートするって意味だよ」 「わっ!」 落ちてくるキスに「もうっ!」と文句を言いながらも、もう一度落ちてくるキスに美穂は目を閉じた。
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