出会い

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 ハァーと無意識にため息が漏れる。    そもそも、この人が紹介の話なんて持ってこなければ、このくそ忙しい時に面倒な思いなんてしなくても済んだのに……  いっそ電話に気づかなかったことにして無視してやろうか。  なんて一瞬は思ったが、相手はまかりなりにも取引相手。無視することなんてできる訳もなく 「はい、村井です」  渋々、電話に出るしかなかった。 『前橋部長から話は聞いてるよね。村井君の都合さえ良かったら今週末にでも席を用意しようと思っているんだけど、どう?』  初っ端から捲くし立てるような竹林さんの言葉が耳に飛び込んできて思わず携帯を耳から離す。  悪い人では決してないんだけど、コレだ!と思った時に周りが見えないというか強引に突き進む傾向があって実のところ少し苦手だった。 .
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