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「煩い、仕事の邪魔」
言葉短く言い捨てると俺は山下を無視してパソコンを打ち込みだす。
「相変わらず冗談も通じないというか、面白味のないやつだな」
やはり俺の反応を見て楽しもうとしていたらしく、ブツブツ文句を言いながら自分の席に戻っていった。
俺は山下が離れていくのを確認してからソッとズボンの後ろポケットに仕舞い込んだ写真を取り出した。
―――牧瀬 凛子さん……
写真を見て部長に教えてもらった名前を思い出す。
お見合いとまではいかないにしても話を持ってきたのは取引先の人で、仕方なくにしても下手な対応もできないだけにちょっと厄介だ。
俺はため息をひとつつくと写真を見られないようにカバンの中に仕舞い込み、気持ちを切り替え仕事に意識を集中させた。
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