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私はいらない子――
そう思い始めたのは、いつからだったか。
もう覚えていない。
気付いた時にはもう、私には――
****
私には、物心ついた頃から母がいなかった。
だから、父が一人で私を養ってくれていた。
幼い頃はその事に何ら疑問を抱かなかった。こういうもなのだと、思い込んでいた。
そもそも世の中のことを何も知らなかった私におかしいと思えと言う方が難しいことだ。
――だけど、いつしかそれが異常なことに私は気付いた。
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最初に疑問を抱いたのは、小学生になって初めての授業参観の時だった。
学校の行事にはだいたいの家庭は母親が来るものだ。
でも、昔の私はそれを知らなかった。
だから仲の良い友達が「お母さん」と言って女の人に駆け寄るのを見て、衝撃を受けたのだ。
それを父に伝えたら、彼は曖昧に笑うだけで、はっきりとした答えは返って来なかった。
今の私には父の気持ちが痛いほど分かる。知られたら不味いことなのだ。言いたくもないだろう。
ただ、幼い私には父の気持ちも汲めなかった。
私は諦めてそれ以上父を問い詰めるのをやめた。
今思えば、この時にもっと粘っていれば、これ程傷つかなくても済んだのかもしれない。
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