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「優奈ちゃんのお母さんって見たことないけど、どんな人なの?」 「おかあ、さん?」 それからまた少したって、友達にそんなことをきかれた。 お母さんという単語にピンと来なかったので答えようがなかったのだが、そんな私を見て友達は何かを察したらしく、答えを追求することはしなかった。 私はそれからも何も気にせずに普通に過ごしていた。 過ごしていた、のに―― 「あいつの家って、母ちゃんいないんだってよー!」 小学校高学年になった時だった。 クラスの男子がどこからか情報を嗅ぎ付け、私を囃し立てた。 子供と言うのは、異常なものを排除したくなるもので。 その日から、私に対するいじめが始まった。
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