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頭の中が真っ白になり、身体を硬直させていると、
「そんなことよりさ」
彩加が口を挟んだ。
「撮影、どうすんの?…これじゃあ、続けられなくない?」
「ああ、そうだ!」
ヒロシが頭を抱える。
「まだ撮りこぼしがいっぱいあるのに。…改めて集まらないと、ダメかなあ。…トモコ、あといくつ残ってる?」
「残すは、保健室から聞こえる、女の啜り泣く声。
…夜中に理科準備室から漂ってくる、生臭い匂い。
それと…。」
ヒロシとトモコは次回の撮影スケジュールについて話を始めた。
…ナイス、彩加。
偶然とはいえ、話を逸らしてくれた彩加に、わたしは心の中でそっと感謝した。
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