-2-

3/13
前へ
/22ページ
次へ
「…ほっぺに、ちゅって。…されただけ」 「……」 「ごめんなさい…」 「…なんで、謝んの」 「だって…」  わたしは、まだ繋いだままの先生の手を、きゅっと握った。 「わたしが、隙を見せちゃったから…」  先生は、くす、と笑って、 「武士っぽい。今の言葉」 「ちょっと…真面目に、言ってるのに」 「どこ?」 「え?」 「どこにされたの、キス」  わたしは、左の頬を指差した。 「ここ…」  先生は、わたしの人差指を包み込むように握って下に下ろした。  顔が近づくのに合わせ、目を閉じると、左側の頬に先生の柔らかな唇が触れた。  食むように唇で挟んで、ちゅ、と音を立てる。 「まさか、あいつと間接キスする羽目になるとはね。」  …熱い…。  唇の感触が残る部分が、燃えるように熱かった。 「先生…」  わたしは、先生の手をさらにきつく握った。 「もっと、して…」  先生が、長いまつ毛の向こう側から、わたしを見た。 「わたし、先生と、…もっと先まで、行きたい」  わたしは、必死で訴えた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

707人が本棚に入れています
本棚に追加