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「…ほっぺに、ちゅって。…されただけ」
「……」
「ごめんなさい…」
「…なんで、謝んの」
「だって…」
わたしは、まだ繋いだままの先生の手を、きゅっと握った。
「わたしが、隙を見せちゃったから…」
先生は、くす、と笑って、
「武士っぽい。今の言葉」
「ちょっと…真面目に、言ってるのに」
「どこ?」
「え?」
「どこにされたの、キス」
わたしは、左の頬を指差した。
「ここ…」
先生は、わたしの人差指を包み込むように握って下に下ろした。
顔が近づくのに合わせ、目を閉じると、左側の頬に先生の柔らかな唇が触れた。
食むように唇で挟んで、ちゅ、と音を立てる。
「まさか、あいつと間接キスする羽目になるとはね。」
…熱い…。
唇の感触が残る部分が、燃えるように熱かった。
「先生…」
わたしは、先生の手をさらにきつく握った。
「もっと、して…」
先生が、長いまつ毛の向こう側から、わたしを見た。
「わたし、先生と、…もっと先まで、行きたい」
わたしは、必死で訴えた。
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