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「音楽室、探してみようか?」
…やばっ!!
電気なんか点けられたら、絶対に見つかっちゃう――。
先生の膝から立ち上がろうとしたところを、くいっと腕を引かれ、わたしはバランスを崩して、再び先生の膝の上に座り込んだ。
目の前の先生の顔に、いたずらっぽい微笑みが浮かんだかと思うと、ぐい、と頭の後ろを押さえつけられ、唇を塞がれた。
「…ん…っ」
思わず抵抗しようとしたが、先生はそれを予測していたかのように、がっしりとわたしの動きを封じている。
…ダメ、先生…。皆が入ってきちゃう…。
先生の柔らかな唇の感触が、わたしの身体から徐々に力を奪ってゆく。
力が抜けた私の背中を、先生の右腕が支えてくれた。
先生は、口を開けて唇を挟み込んでは何度も吸いつくように、微かに音を立てながら湿ったキスをし続けた。
その唇の動きがとても優しくて…大切に、大切に、唇を食べられていくような感覚に陥る。
「あ、もしかしたら、先に理科準備室行ってるんじゃない?」
「そうかなあ。…でもさ、とりあえず、音楽室は確認しとこうよ。もっかい戻ってくるの、めんどい」
「いや、ここにはいないだろ。真っ暗だぜ」
廊下で話す皆の声が、遠くからぼんやりと聞こえている。
わたしの頭の中はすでにとろとろにとろけてしまい、それどころではなかった。
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