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消防車が到着した頃には、数名の先生達と警備員2名の初期消火が功を奏し、ほとんど鎮火していた。
空になった消火器が、すっかり黒焦げになった小屋の付近にばらばらと落ちているのが見える。
わたしたちは、小屋の近くに建つ校舎の3階から下を見下ろしていた。
消防車のホースが校庭の給水塔に繋がれ、長い蛇のように校庭を横切ってっている。
炎はもうとっくに見えなくなっていたが、再発火防止のためか、念のための放水が行われているようだった。
複数の電灯に照らされた先生達と消防士、そして警官の影が、それぞれうっすらと四方に陰を落としている。
「キャンプファイアみたいだったね」
トモコがボソッと呟く。
「怖いね…。絶対、放火だよね、これって」
彩加が口にした『放火』という言葉を聞いて、わたしの背筋を冷たいものが走った。
『放火魔は、学校を去れ』
嫌でもあの投書のことが頭をよぎる。
「…バカだな違うよ。原因は、狐火だって」
ヒロシくんがニヤリと笑った。
「七不思議の一つだよ。俺の台本、読んでねえの」
「読んでない」
彩加がはっきり言うと、ヒロシくんは少しだけ哀しそうな顔をした。
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