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「学校の中、上見て歩いてれば、すごい数のカメラが見つかると思うぜ」
「なんか、気分悪いねぇ」
トモコが顔をしかめる。
「それはお前がなにか、心に後ろめたいものを抱えてるからだろ」
「そんなもの無いけどさあ。…監視されてる、って思うと、…何だかねえ」
「だけど、そのおかげで、俺達の安全も保障されるんだから、俺はいいと思うけどね」
…まさか…。
二人の会話を聞きながら、私は冷や汗をかいていた。
音楽室に、カメラなんて…ないよね。
「そういえば、椎名。」
二人を挟んだ向う側に居るヒロシが、伸び上がってこちらを覗きこんだ。
「さっきまでどこにいたんだよ」
「え?…さっき、って?」
「音楽室出てから、いなかったよな。…先生と二人で消えて、何してたんだよ」
「……」
太ももを弄られていたとも言えず、わたしはぐっと詰まった。
「え、…と、トイレだよ」
「二人で?」
「違うよ!一人で!」
「よく一人で、トイレなんか行けるね。怖くなかった?」
トモコとヒロシが、疑わしげにわたしの顔をじっと見つめる。
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