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「ふぅ……半額は嬉しかったな」
俺はブレイブ! 十八歳の見た目は何処にでもいる一般人だ。
でも、これでも元冒険者なんだ。といっても、今は一般人だけど。
今はオッチャンのとこで買い物してきて帰っている。
その帰り道でも、世話話や遊んでいる子供達がいる。
平和だなーと思いながら歩いていると……
「金を払え! この餓鬼がぁ!」
そんな声を聞き、声がした方を見ると、一人の男が少年と少女に怒鳴りつけている。
その少年と少女をよく見てみると、ボロボロの服を着て、食べ物を持っている辺り、スラム街に住んでいるのだろう。
スラム街ってのは主に権力も金も無い人や、ナイトメアなどが住んでいる所だ。
……ふむ、放ってはおけないな。
「泣いたって木刀を向けたって変わんねえんだよ! いいから早く金を払え……って何だあんた?」
俺が男に近づくと、その男は少年と少女に罵声を浴びせるが、俺に気づいたようで話しかけてくる。
「ほい」
俺は懐を探り、幾ばくかの金を手に取り、男の目の前に差し出す。
「……はっ?」
「金を払えばいいんだろ? それともこいつに罵声を浴びせなきゃいけない個人的な理由でもあんの?」
「あ、当たり前だろ! こいつらは商品を盗っていったんだぞ! ゴミの分際で―――ひぃっ!?」
男は気の抜けた声を出すが、それを無視して俺は金を男の手に置きながらそう言う。
すると、男は大きな声で少年達に指差しして暴言を吐いた瞬間、俺は少年の手にあった木刀を取り、男の顔に当たるか当たらないかの距離で止める。
「金は払うって言ってんだからいいだろうがそれくらい。それと例えスラム街の人だとしても、ゴミと呼ぶんじゃねぇ、分かったか?」
「ひ、ひいぃぃ……!!」
俺が睨みながら低い声でそう言うと、男は後ろに下がりながら膝に力が入らなくなったのか、尻餅を着いて転ぶ。
あらま、少し殺気出しただけなんだけどな……そんなに怖かったか。
「うんしょ……これくらいあれば贅沢さえしなければ暫く持つと思うから、もうこんな事はしちゃだめだぞ?」
「……! ありがとうお兄ちゃん!」
俺が木刀を返し、大体50ガメルを少年に渡すと、笑顔でお礼を言われる。
その後少年達は、俺に向かって手を振りながら走っていった。
「……さて、俺も帰るかな」
俺は誰にも聞こえないようにそう呟き、家に向かった。
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