無名の英雄

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なんやかんやあったが、俺は家の目の前にいる。 いや、家というのは間違っているか……正しくは店だ。 どういう店かと言うと、主には料理店だが、依頼を冒険者に渡す仕事もしている。 ちなみに今は七時、真っ暗とまではいかないが、結構暗い。 俺が扉を開けると…… 「あ、ブレイブさん! 何処行ってたんですか?」 「ちょいと買い物しに行ってただけだぜ」 「そうですか……あ、何か依頼はありませんか?」 黒い髪のちょっと幼い顔をした、背中にフランジュベルを背負った青年が俺にそう言ってくる。 こいつはテイル。人間の十五歳だが十三歳に見えてしまう。が、そこを言っちゃうと魔力撃をしてくるので注意。 まあそこさえ指摘しなければとても優しいやつだ。まあ冒険者なんだけど。 具体的にはファイター9、プリースト(ザイア)5、エンハンサー7、セージ7の冒険者レベル9である。 「今んとこ無いぞ?」 「え~……腕 鈍っちゃいますよー……」 「我が儘言わんといてくれ」 俺が最近依頼が無いことを言うと、テイルの隣に座っている、茶色の髪で頭に角が生えている手首にパワーリスト、足首にパワーアングルを付けた青年がそう言ってくる。 こいつはユウタ。ナイトメアの十五歳でテイルとは親友だ。 テイルほどまではいかないが優しく、困っている人がいると放っておけないやつだ。そして冒険者である。 具体的にはグラップラー9、プリースト(ル=ロウド)5、エンハンサー7、スカウト7の冒険者レベル9である。 「まあ仕方ないよ、無いものは無いし」 「すまないな、ここが有名じゃないばかりに」 「し、仕方ないですよ、それを承知で僕達もここの所属冒険者になりましたから」 俺がそう言い、ぐったりとしていると、テイルと口調の似た、青い髪で少し美しい顔立ちをした、腰に宝石のケースを付けているクォータースタッフを持つ青年がそう慰めてくれる。 こいつはダイヤ。エルフの十五歳で二人とは友達だ。 普段はこのようにとてもいい子なんだが、キレると黒くなっちゃうんだよな……。 しかもこいつ、頭の回転が速いからなぁ……怒らせると色々怖いんだよ。そんな彼も冒険者だ。 具体的にはソーサラー9、コンジャラー9、フェアリーテイマー4(光4、水・氷4)の冒険者レベル9である。
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