無名の英雄

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まあそんなに名が知れても俺はただ一人の人間だけどな。 「んで、これからどうするん?」 「う~ん……後は家に帰るくらいですかね……あ、武器の整備しなきゃ」 俺がそう聞くと、テイルは少し考えた後、そう言う。 ……そういや最近武器触ってないな……流石にあの時使ったあの剣は使うわけにはいかないし……何か適当に買うかな? 「あ、もうこんな時間か……それじゃあ、そろそろ帰ります」 「おう、気をつけてな!」 「分かりました!」 その後しばらく雑談した後、ダイヤは時計を見てそう言ってくる。 俺がそう言って手を振ると、三人とも手を振り返しながら帰っていった。 そしてから改めて時計を見ると、九時。客もいなくなる頃だ。 繁盛しているとこなら酒飲み組がいるが、ここは繁盛してないのでそんなのはいない。 そして、誰もいなくなり、色々片づけをしていると…、扉が開く音がする。 扉の方を見ると…… 「久しぶりだな、ブレイブ」 「お、ラグじゃん! 久しぶりだな」 黒い髪で腰に銃を二丁装備した男性が店に入って俺に声を掛ける。 こいつはラグ。俺の親友で英雄の一人だ。 「何か出すか?」 「ああ、夕飯もろくに食えなかったんでな……軽い物を頼む、あと水」 「贅沢しないのなお前って……まあ、少し待ってな」 俺がそう聞くと、ラグは微笑しながらそう言ってくる。 相変わらずだな、と思いながら俺は片づけてなかったフライパンを出し、油を入れ、全体に広げてから捨てる。 そこに予め切って保存しておいている肉を先に焼き、その後に野菜(もやし、ニラ)を入れ、丁度よくなってきたらトロトロにならない程度に片栗粉を溶かした醤油ベースのスープを入れる。 絡んだと思ったら皿に適量を盛り、コップに水を入れる。 「ほい、出来たぜ」 そして出来た料理と水をラグの前に置く。 「野菜炒めか……ありがたいな……うん、相変わらず腕は衰えてないな」 「そりゃあ、依頼と料理で食っていってるわけだから手抜きは出来ねえよ」 「……間に合ってるのか?」 「や、全然?」 ラグはそれを食べると、そう言ってくるが、うちはそれでしか商売してない時もあるので手抜きは出来ないと俺は自信満々に言う。 まあ、間に合ってないけどね! 雇えないよ誰も! 今んとこ雇う気ないけど!
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