無名の英雄

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「どうしてお前は英雄だということを隠すんだ? それを出せば有名になって繁盛するだろうに」 「有名になってもろくな事ないだろ? お前で実践済みだ」 「……確かにろくな事は無いな……てかお前はそういうのを嫌うもんな」 ラグはそう言ってくるが、どうなるかはラグで実践済みだと言うと、ラグは苦笑を浮かべながらそう言ってくる。 俺はひっそりと暮らしたいんだ。なのに有名になったら駄目だろう。 「ああ、それと……今日は匿ってくれないか?」 「んあ? どして?」 「今日国の外れにある塔でミニングレスに会ってだな……そいつを倒したらマスコミに見つけられてしまってな……現在進行形で家の前にいるんだ」 「そりゃあ、国が滅ぶレベルのアンデットだし、仕方なくね? まあ泊めるけどさ……好きな部屋使っていいぞ」 ラグがそう申し訳なさそうにそう言ってくるのでどうしてかと聞くと、うわぁってなりそうな事を言われる。 まあ、ミニングレスだもんね、放っておけないよね、国滅んじゃうし。 そしてストーキングされてるっていうww訴えられるぞそいつww 「すまないな……ここが唯一安心できる場所ってのがな……」 「ここは中々知られてないからな……余程の事がない限り見つけられないぜ」 「店としてそれはどうかと思うが」 「そこら辺は突っ込まんでほしい」 ラグはため息を吐きながらそう言ってくるので、俺が笑いながらそう言うと、見事に突っ込まれる。 まあ、別に気にしてはないんだけどね。 「……誰も雇わないんだな」 「間に合ってないからな……出す給料がねえよ」 「でも、確か英雄と噂は立ってないけど、かっこいいって噂はあるらしいから来るやつもいるんじゃないのか?」 ラグがそう言ってくるが、出せる給料が無いです。 つかそんな噂立ってるんだな……いや、英雄っていうのが知られなければいいけど。 「来るけど、お断りしてるね。どうせ雇うなら真面目で責任感があるやつがいいしな」 「なるほどな……そういやいつも来てるあの三人組はここの所属冒険者だっけか……」 「そうなんだよねぇ……全く、助けたからってそこまで無茶しなくてもいいのによ」 まあ、断ってるけどね。そいつら可愛くもないし、何より真面目でない。 そしてあいつらはどうしてここの所属になっちまったんだかねぇ……今でも不思議だ。
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