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 カタ、と机にシャーペンを置くと、わたしは教室の前方にある大きな時計に目をやった。  …まだ、10分も制限時間、残ってる。  わたしは心の中でよし、と呟くと、小テストの答案の見直しを始めた。  回答欄はすべて埋まり、内容の全てに自信がある。  …これで、土曜日のデートは決定、かなっ。  わたしは教室の前方の壁に寄りかかっている春山先生の方を見た。  先生は腕を組んで、窓の外を眺めている。  デートの約束を交わしてから、…我ながら嫌になるくらい単純だけど…わたしはとにかく頑張った。  世界史の教科書を片時も離さず、寝る間も惜しんで机に向かい続けた。  おかげでこの2日間、完全な睡眠不足だけど、努力の甲斐あって、高得点間違い無しの、完璧な解答用紙が出来あがった。  これで、ミッションクリア、間違い無し。  …やればできるじゃん、わたし。 『…今週の土曜日、空いてる?』 『じゃあ、俺が予約、入れたからな。…近くなったら、また連絡する。』  …先生との、秘密の約束。  …どこに連れて行ってくれるんだろう。  わたしは春山先生と手をつないで歩く画を想像し、頬を緩ませた。  遠くを見つめる先生の顔に見惚れながら、ふと、音楽室でのキスを思い出す。
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