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「なあに、それ。…誰が言ってたの?」
「春山先生がね、さっき、怖そうなおじさんと話してて。…防犯カメラに、誰も映ってなかった、って…」
「怖そうなおじさん?」
フジコ先生は少し考えて、
「笹森さんかな…」
「え?」
「ねえ椎名さん、そのおじさん、どこにいた?」
「えっと…。あの、燃えた小屋の前に、春山先生と…」
「そう」
フジコ先生はわたしの肩に手を置いて、
「椎名さん、ごめんね。…ちょっとお客さんいらしてるみたいだから、行かないと」
「あ、…はい」
わたしが戸惑いながら答えると、フジコ先生は少し慌てた様子で階段を降りて行った。
…どうやらあのおじさんは、春山さん、でもないし…後藤さんでもないらしい。
今日子先生、‥‥ササモリさん、とか言ってたっけ。
取り残されたわたしは、なんとなくもやもやしながら、教室に向かって階段を登り始めた。
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