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*****  時計の針は、夜の8時を差していた。  枕を抱きしめながらベッドに丸くなってぼんやりしていると、握っていた携帯が振動した。  わたしはガバッと飛び起きた。  …先生からの、返信…っ。  胸を高鳴らせながらメールを開ける。 『サンマ』 「……」  わたしはボス、と枕に顔を埋めた。  …もうちょっと、文字数、欲しかった…。  せめて、魚の絵文字くらい、つけてくれてもいいのに…。  1時間ほど前にわたしの方から、  『こんばんは。お仕事、お疲れ様です。 今日はごめんなさい、立ち聞きとかは全然してません。ほんとですよ。 ところで、今日の夕ご飯、何食べるんですか?』  という絵文字満載のメールを打って、待ちに待った返信が、これ。  初めてもらった先生からのメールが、『サンマ』じゃ…。  なんだかすっごく、切ない。  わたしはため息をついて、ベッドから出た。  しょうがないから、勉強でもしよう。  メールを待つ間、一時間をまるっきり無駄にしてしまった事を後悔しながら、鞄からノートを取り出していると、ブーン、という振動音が聞こえた。  ベッドに戻り、携帯を開く。 『春山哲哉』  …あ…。  …初めての、先生からの電話…。
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