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「黙っててよ、お母さん達には。ちゃんと、祐希にだけは正直に話したんだから」
「……」
「祐希」
「…言いたくったって、言えるかよ、そんなこと。」
祐希は少し傷ついたような顔をして、ゆっくりと立ち上がった。
「…祐希…」
わたしの呼びかけに反応することなく、肩を落としながらリビングを出て行く。
階段を登る足音が遠のき、2階でバタン、とドアが閉まった。
…まずかったかな…。
わたしは、すっかり液体に変わってしまったアイスをローテーブルの上に置いた。
…ううん…。
きっと、話して良かったと思う。
祐希は今までも、何があってもいつもわたしの味方でいてくれた。
わたしが祐希を信頼している気持ちは、きっと伝わったはずだ。
それに…。
わたしと先生の、卒業式の大切な約束を、後ろめたいものにはしたくなかった。
あの約束があれば、わたしは自分の気持ちを、、…先生を信じていられる。
先生が、わたしのことを大切に思ってくれているって、信じ続けることができるのだから。
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