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部屋に戻ると、わたしは机に向かい、過去問のテキストを取り出した。
以前より塾のコマ数を増やし、毎日のように自習室にも通ってはいるが、他のみんなから比べたら、わたしの勉強量は明らかに足りていない。
放送部との両立が出来なかったら、先生に心配をかけてしまう。
出来る時に、単語一つでも覚えなきゃ。
でも…その前に…。
わたしは携帯を手に取り、ウキウキしながら先生に宛てたメールを打ち始めた。
『今日はありがとうございました。お昼ごはん、ごちそうさまでした。プラネタリウムもとても楽しかったです。
来週の模試でいい点数を取ったら、またどこかに連れて行って下さいね。
おやすみなさい』
子供っぽくならないように絵文字を最小限に抑え、何度も読み返してからえいっと送信ボタンを押す。
…先生のことだから、きっとまた『勉強しろよ』とか『早く寝なさい』とか…短い返事しかくれないんだろうな。
先生からの過去の受信メールを見返して、その短さに改めて笑みが洩れる。
…さて、そろそろホントにがんばろ。
わたしは勉強に集中するため、携帯を布団の中に押し込めた。
その夜…。
先生からの返信は、無かった。
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