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月曜の放課後。
わたしは職員室の入り口から、中を覗き込んでいた。
…いない…。
いつもの席に、春山先生の姿は無かった。
来週から、下校放送は全て下級生たちで回す事になっている。
その引き継ぎの件で、先生に相談があったのだ。
それに…。
土曜の夜、先生がメールを返してくれなかったことが気になっていた。
いつもなら、どんなに短くても、必ず返してくれていたのに。
小さな事ですぐに心配になる自分に嫌気がさしながらも、一言だけでも先生と言葉を交わし、不安を払拭しておきたかった。
「おい、椎名。…どうした?」
振り返ると、学年主任の小林先生が笑顔で立っていた。
白髪頭だが、実は見た目よりも意外と若いらしい。
「あの、…春山先生を探しに…」
「ああ、春山先生だったら、さっき放送部室に行ったよ。
ちょうどよかった、ちょっと用事があるから、職員室に来てほしいって春山先生に伝えに行ってくれるかな。
お前の用事が済んでからでいいから」
「はい、わかりました」
…もう、部室に…?
…今日はやけに早い…。
何となく胸騒ぎがして、わたしは足早に部室に向かった。
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