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――先生と今、何してたの?とは、……聞けない。
でも、…このままにも、出来ない。
「月子ちゃん…」
わたしは思い切って、お弁当のことについて聞いてみることにした。
「…月子ちゃんて、春山先生にお弁当作ってあげてるの?」
彼女は一瞬だけ驚いたような顔をして、すぐに微笑みを取り戻した。
「ばれちゃいました?」
…やっぱり…。
分かっていたとはいえ、ずっしりと重い衝撃が、わたしの胸に響いた。
「…哲哉くんには、ばれないように気をつけようねって言われてたんですけど、やっぱり隠し通せないものですね」
月子ちゃんは、困ったように眉を下げた。
「…どうして」
わたしの声が少し揺れる。
「どうして、…月子ちゃんが、先生のお弁当を作ってるの…?」
大きな目が、きらりと輝いたように見えた。
「萌先輩。…今から言うこと、誰にも内緒にしてくれます?」
「…え…」
「ばれたら、哲哉くん、学校に居られなくなっちゃうから」
わたしの胸が、細かな鼓動を打ち始める。
…また、…嫌な予感…。
「お弁当を作るようになったのには、ちゃんと理由があるんですよ」
月子ちゃんは、静かに燃えるような瞳で、言った。
「わたし、…哲哉くんと付き合ってるんです…今年の4月から」
わたしは目を見開いた。
全身の血が集中したように、顔がかあっと熱くなる。
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