24章 地力の差

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最初と比べ各段にスピードが上がった動き、そして速いパス回しであっという間に中盤から最終ラインまで崩された香城館メンバー。 「これが総体優勝校……」 利央はつぶやく。オレンジの集団に目を向けた。 11名の鋭い目つきと精悍な身体から湧き出てくる闘志を感じる。それはまるで勝者が放つオーラのよう。 強者の気迫を感じた利央。背中を冷たい汗が流れ、足がすくむ。 彼だけではない。皆が抱いている衝撃と畏怖はこれだけで終わらなかった。 キックオフでプレー再開後、前につなげようとする香城館。ビハインドに追い込まれ、攻撃一点に集中する。 何とか前線にクサビを打ち込もうとボールを運ぶが、速いプレスに阻まれた。まるで次はだれにボールが渡るか見切ったかのような反応の良さである。 スピードが全然違う。これが監督が言っていた修英のヤバさか。 桧山と西野に挟まれ、身動きがとれない向島が思う。必死でコースを探り、何とか前線の向坂に繋げようとパス。 あわてて出したせいか、タイミングがずれてしまう。結局、飛び出した修英のサイドバックに奪われた。 すぐに速いトラップとパス回しで次々と立ちはだかる選手を置き去りにして、右サイドから攻めあがる。 再びピンチに陥ってしまった。
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