779人が本棚に入れています
本棚に追加
サイドから中央にいた桧山の縦パスがディフェンス裏に駆け出したFWに通り、シュート。すぐに矢田がブロックで対応し、ボールを弾いた。
「クリア」
仁が叫ぶ。なんとか防いだものの、ボールが残っている危険な状況。急いで智之や伏見が駆け寄る。
だが触れたのは30番を背負うオレンジユニフォームの選手、勅使河原。
それにしても動き速すぎるぞ。
左サイドから一気に中央へ接近した彼のスピードに驚く智之。最悪のタイミングでやってきた。
勅使河原の左足を振り抜いたダイレクトシュートは、惜しくもクロスバーの上を越えていく。
同時に黄色い悲鳴とため息が広がった。
「……くそ」
得点にならなかったことを悔やむ勅使河原。一方、首の皮一枚でつながった香城館はゴールキックを得て安堵。
「テッシーくん、どんまい」
「大樹さん、そのあだ名やめてください」
小さく肩を落とす30番に沢口が励ます。
「まだ始まったばかり、次は決めます」
「おう、任せた」
切り替わったような相手の迅速な攻めに衝撃を受け、浮足立つ香城館と比べ修英はリラックスしていた。
最初のコメントを投稿しよう!