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スプリントとは、短い距離を全力疾走したときの速度と回数を指す。より速く、より回数が多ければその能力が高いということになる。
高梨は修英に監督として就任したときから重要視し、伸ばすトレーニングを続けさせた。
この能力はオフザボールでの攻守の切り替え、オーバーラップ、ディフェンス裏への飛び出しなど得点機会や試合の重要局面で力を発揮する。
利央たちに見せつけた素早いカウンターと、沢口の意表を突いた飛び出しやディフェンス時の寄せ……。これらはスプリントを鍛えた成果だ。
他の高校より地力で差をつけ、勝つ。
地道に努力を積み重ね試合で大きく見せつける。これが高梨のサッカーであり、修英のオレンジサッカーの片鱗だ。
「学生時代から彼のスプリントはなかなかのものだった。ピッチの上下を激しく動き、ディフェンス裏を狙う速さは誰もかなわなかった……それを選手に技術として取り入れさせたんだ」
懐かしむように斎藤にいった。
「機動力の高さ、はわかったのですが……」
斎藤は序盤の立ち上がりの鈍さが引っかかっていた。
「最初ゴール前まで通したのは、手を抜いていたのでしょうか」
「そうじゃないよ斎藤ちゃん」
先に若井が答えた。張り合おうとする姿勢に苦笑いする木戸川。
「あれは、修正、したんだよ」
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