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間もなく、私達が乗る新幹線が到着しあらたくんに「じゃあね」と告げた優美は先に乗り込んだ。
すれ違いに小学生低学年位の男の子が降りて行って「あっ!お兄ちゃぁん」とあらたくんに抱きついているのが見えた。
「よく1人で来たな」とくしゃくしゃの笑顔で頭を撫でて荷物を持ってあげていた。
ドクッ
初めて聞く心臓の音。
それと同時に扉が音を立てて閉まるとすぐに新幹線は走り出した。
「優奈!こっち!」
ぼーっとしていた私はあわてて優奈の方へ向かい荷物を棚に乗せると隣に座る。
「タイプ?」
にやっと笑った優美が私に聞いてきた。
「そ、そんなんじゃ・・」
「そう?」
とまたクスクス笑う。
いつもそう、優美にはそんな気があるのかないのかわからないけど、手の上で転がされて踊らされてるような感覚。
それが昔から嫌だった。
いつも私より先を歩いていて、私よりなんでも知ってないと面白くない。
知らない事を話しているのに知ってるふりをする。
だから褒められるのはいつも優美。
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