お姉さん

1/2
前へ
/21ページ
次へ

お姉さん

これは、私が4歳くらいの時に体験した話です。 父に連れられ、私は駅ビルに花火を買いに来ました。 花火セットを買って帰る途中、父は立ち止まると「新しい台が出たのか」と言って、パチンコ屋の入口を眺め始めたのです。 早く帰りたかった私は父の手を握って「ダメだよ」と言ったのですが、父の視線はパチンコ屋に戻ります。 「由奈、あとで横の喫茶店でケーキをあげるから、お願い」 当時の私はパチンコ屋を分かってないうえに、ケーキが食べれると聞いて、頷いていました。 「ジュースをやるから、俺の見える範囲にいろよ」 「うん、いる」 飲み物を渡され、私は父を見ていました。 だからと飽きるのは早いもので、飲みきったジュースパックをゴミ箱に捨てて、買った花火の種類を見たり、転がる銀玉を目で追ったりしていました。 ふと横を見ると、私より歳上の女の子が座っていました。 いつの間に?と思うより、お姉さんに相手をしてほしかったのか、私はお姉さんの腕をツンツンとつつきました。 すると、下を向いていた お姉さんは私の手を握って、顔を向けようとユックリと動き。 「由奈、喫茶店に行くぞ」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加