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お姉さん
これは、私が4歳くらいの時に体験した話です。
父に連れられ、私は駅ビルに花火を買いに来ました。
花火セットを買って帰る途中、父は立ち止まると「新しい台が出たのか」と言って、パチンコ屋の入口を眺め始めたのです。
早く帰りたかった私は父の手を握って「ダメだよ」と言ったのですが、父の視線はパチンコ屋に戻ります。
「由奈、あとで横の喫茶店でケーキをあげるから、お願い」
当時の私はパチンコ屋を分かってないうえに、ケーキが食べれると聞いて、頷いていました。
「ジュースをやるから、俺の見える範囲にいろよ」
「うん、いる」
飲み物を渡され、私は父を見ていました。
だからと飽きるのは早いもので、飲みきったジュースパックをゴミ箱に捨てて、買った花火の種類を見たり、転がる銀玉を目で追ったりしていました。
ふと横を見ると、私より歳上の女の子が座っていました。
いつの間に?と思うより、お姉さんに相手をしてほしかったのか、私はお姉さんの腕をツンツンとつつきました。
すると、下を向いていた お姉さんは私の手を握って、顔を向けようとユックリと動き。
「由奈、喫茶店に行くぞ」
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