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ハッとして上を向くと、父が立っていました。
「由奈?」
お姉さんの方を向くと、居なくなっていました。
「ねぇね。手をギュュで、バイバイ」
「ねぇね?ゴメン、何を伝えたいか分からない」
喫茶店でケーキとジュースを注文してもらい、私は父に お姉さんの話をしました。
「暇になって、知らない歳上の女の子の腕に触れたら腕を掴まれたと」
「顔、まっくら」
「顔が見えなかったのか?いくらなんでも見えないは無いだろ、夢でも見たんじゃないのか?俺が来たとき、居なかったぞ」
父は信じてくれませんでした。
でも確かに私は顔が見えないお姉さんを見ているのです。
だって、帰り際に見たパチンコ屋の中のベンチには、下を向いたお姉さんが座っているのが見えていたのですから。
今思えば何故あの少女は、パチンコ屋のベンチに座っていたのでしょうか。何故 顔が無かったのでしょうか。
今となっては確認することは出来ません、何故ならパチンコ屋は火事で無くなったのですから。
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