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‐ある家族の日常‐
今日はある家族の、ある人間の誕生日である。今どき見かけない円卓の真ん中にケーキを飾り、獲物を狩るような目付きでケーキを睨む四人の姿。
長男が歌いだす。続けて次男も歌いだす。最後に末っ子が歌いだす。
「ハッピーバースデートゥーユー!秋奈!」
「へい!ハッピーバースデートゥーミー私!」
そう言って蝋燭の火を消す。消えたのは五本、消えずに残ったのが十二本。
「秋奈もう十七歳か。大人になったな」
「春くんだって十七歳じゃん。それって自分が大人だという主張?」
「長男なんだ。大人で間違いない。夏樹もそう思うだろう?」
「二十歳超えないと大人じゃないよ」
家族は愉快に話を弾ませる。
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