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一服していた私は、自分が居なかった間情報部に何があったのか分からず、自らの木製の机に着いた。
パイプの火を消し、机に置いてそっと辺りを見回す。
職員は皆何かしらの書類を手に動き回る。
せめて働いているフリでもしておこうと、机の端の鏡を見ながら髪を整える。
鏡に映る自分は三十歳の男とは思えないほどの老け顔であり、あまり見たくない。
と。仕事仲間の男性がツカツカとやってきて私に耳打ちをした。
私よりも若いこの同僚の声は、何時如何なる時に聞いても甲高い声量を持っている。
「まさに世紀末ってヤツだな。お前はどう思う?」
「何がだよ?」
「お前聞いてないのか!?」
「だから何をだよ?」
同僚の言葉に耳を傾けながらも、目だけは未だに動き回る同僚達を追いかける。
彼らは皆それぞれ書類を手に行ったり来たりを繰り返している。
「つい十分程前に総本部の特別観測船から通達がきたんだ。
それからこの騒ぎさ。
その通達、何て書いてあったと思う?」
「勿体ぶらずに早く言え」
同僚は焦らすばかりだが、たった十分前に届いた通達で総本部の情報部が半ばパニック状態なのだ。余程凄まじい内容なのだろう。
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