PROLOGUE

3/5
前へ
/17ページ
次へ
 ランポスと呼ばれる肉食獣は、ぎらつく眼で品定めするようにケルビたちを見た。  舐めるような視線を浴びながら、ケルビたちはあっという間に挟まれてしまった。  ケルビたちは焦りを覚え、オロオロしている。  当然と言えば当然のことだ。 自然の摂理でもある。  肉食獣が草食獣を見つければやることは一つだ。  ランポスは二匹とも示し合わせたように確実に獲物との距離を縮めていく。  鹿のような草食獣とはいえケルビにも防衛手段はある。  といっても頭に生えている角を振り回して抵抗するだけ。 しかもそれが微々たる威力であるから大した抵抗にはならない。  それがわかっているからこそ、ランポスはケルビを狙っている。  自分たちの方が強いと知っている。 ケルビにはない爪と牙を持っているから。  そしてケルビたちも、これが命に関わる状況だと理解している。  どうにかして逃げ出そうと考えるが、まず助からないと本能が告げる。  ジリジリと近寄って来るランポスが、脅えるケルビを逃がさないように威嚇をし、一気に飛び掛かった───。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加