PROLOGUE

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 唐突に黒い影が空を覆い、今まさに飛び掛かろうとしていたランポスに被さったかと思うと、獲物であったケルビを残し、二匹の捕食者は跡形もなくその場から消え失せた。  羽ばたく羽音に眼を向けたケルビたちは、大空に飛び立つ雄大な竜の姿を見た。  リオレイア───陸の女王と呼ばれ恐れられるモンスターは、食べ物として物足りないケルビになど目もくれず、二匹のランポスの息の根を即座に断ってから口にくわえると、どこまでも広がる空へと消えて行った。  弱肉強食の世界。  ここは、この世界は、まさにその具現と言えた……。  遥か昔。いつの時代においても、人間から人間に受け継がれる狩猟本能。  人間は生きるために全力でモンスターを狩り、モンスターもまた生きるために死力を尽くして人間を追い払った。  時は流れ、知性のついた人間は自分達に害を成すモンスターに対処すべく『ハンターズギルド』を世界各地に設置した。  現存するありとあらゆるモンスターの情報が集まるギルドでは、長たるギルドマスターを中心に、大勢の優秀な諜報員が日夜人々の生活の安全のために働いている。
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