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スタンドから見る夏は、思ったよりも早く終わった。
初戦から、今回シードを逃したものの県内屈指の甲子園出場回数を誇る神谷高校と当たってしまった我らが平田商工は、エース南條が自己最速更新となる139キロのストレートと横滑りするような大きく曲がるスライダーでスコアボードに0を並べたものの、八回球威が落ちたところで手痛い一発を浴び、それが決勝点に。
平田商工は、初戦でやぐらから姿を消した。
ロッカールームから荷物を運び出す際、世話になった先輩の赤い目を見た時にはさすがに胸が締め付けられたが、涙は流れなかった。
この負けを、僕達チームの結果として感じていない自分がいることに気がついたのは、学校への帰路を往くバスに揺られる中でのことだった。
だからと言って、その認識が涙腺を刺激することも無かった。
引退する先輩達の挨拶が流れ作業的に進み、翌日から僕達の新チームが本格始動した。
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