夏の終わり

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 いつもより広くなったグラウンド。 耳に馴染んだ声が消えた練習風景。 自分達がチームを背負って立つのだという気持ちが、内側から湧いてくる。  ブルペンも、投げる場所、順番がこれまでとは段違いに良く、早くなった。 肝心の投球はと言われると、球に力はあるもののどこかギクシャクした投げ方になってしまい、フォームの要点をチェックしながらのピッチングに終始した。  大会一ヶ月前にベンチから外れることが決まってからは、全体練習に参加できずにベンチ入りメンバーの補助員として過ごしていた。 その期間を利用し、僕は空いた時間にオフのつもりで高負荷のウェイトトレーニングをこなしていたのだ。 キツい為に当然長い時間はできないし、普段の練習をできないぶんオーバーワークで故障する心配もなく、筋肥大に必要な休息も充分に取れる。 一ヶ月間とは言え、今日のブルペンで投球がまとまらなかったことから、体のバランスは良くも悪くも変わってくれたようだ。
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