夏の終わり

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 その日から自主練のトレーニングメニューを普段の負荷に戻し、フォームをある程度整えることにした。 力がついたことで上半身、特に利き腕が付いた右半身に頼りがちになってしまうフォームを、下半身の力を胴体に伝え、その力で脱力した腕を鞭のように走らせるものに戻していく。 僕のような不器用な選手は、技術を意識しなければ上達できない。 下手な状態では、気持ちでプレーすることなど到底不可能だ。 気迫を全面に出し投球する域に達する足掛かりとして技術の習得がある。 それもできていない選手に気持ちだなんだと言うのは、はっきり言って意味がないしただのパワハラだ。  監督は、僕の投球をあまり見ず、旧チームからのエース南條と、一年生ながら春からベンチ入りを続けるサウスポーの渕上の状態を確かめていることが多い。 おそらくこの二人を左右の両輪として投手陣を運用していくつもりなのだろう。  期待されないのは元からだ。控えの捕手と向き合いながら、スムーズなフォームを意識して投げ込みを続けた。
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