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新チーム初めての練習試合は、相手が格下ということもあり初戦を南條が完封。二試合目も渕上が完投し、僕の出番は無かった。
南條は夏の好調を維持しており、二桁奪三振を奪う快投。
二試合目の渕上が四失点しただけに、途中からブルペンで準備をしたのだが、結局出番は無かった。
投げたかったが、起用を決めるのは監督なだけに仕方がない。
控え捕手で後輩の氷上に頼んで、200球受けて貰った。投げている際、氷上はよく褒めてくれる。
「良い球っす。力入れれば、130キロ近く出てるんじゃないですか?」
「出てるかな?」
高校に入学した頃は、110キロ出るか出ないか程度だったと思う。氷上の見立て通り130近く出ているとしたら、だいたい20キロ速くなった計算になる。
投げ終わり、疲労を溜めない為に10kmほど走っていると、途中で後ろに人影がいることに気がついた。
一年生で左投手の桑谷。
振り向くと何か言いたげな目で僕を見ていたが、顔を合わせると浅く会釈をして走ることに気持ちを戻したようだった。
なんなのだろう。
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