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 更科くんが何かを言おうとした時、賑やかだったリビングが突然、静まり返った。  空気が一瞬にして凍りついたことが、廊下にまで伝わってくる。  わたし達は顔を見合わせ、急いでリビングに向かった。  入口に立つと、テレビ画面に注目しているみんなの表情が目に飛び込んで来た。  全員が顔を強張らせ、一点を見つめている。  その時、テレビから聞こえてきた聞き慣れた名前に、わたしは慌ててテレビの見える位置まで移動した。 『――現在は鎮火している模様ですが、つい先程まで、今ご覧頂いている映像のように、炎が空に届きそうなほど、激しく燃えていました。 この火事によるけが人などの情報は、今のところ確認されていません。 なお、以前、校庭の小屋を焼いた放火事件との関連につきましては、消火活動が終了次第、捜査を始めるとのことです。 以上、蒼陵西学園高校前より、中継でお伝えいたしました。』  テレビ画面には、通りがかった人が携帯で映したのか、少し荒い画質で、夜空に赤々と炎を上げながら燃える体育館の映像が映し出されていた。 「……これ、姉ちゃんの学校、だよね」  祐希の呟きに、誰も答えることが出来ずにいると、沈黙を破るように携帯の着信音が鳴り響いた。 「はい、春山です」  春山先生が携帯を耳に当て、立ち上がる。  話の相手の指示を受けながらフジコ先生に目線を送ると、先生は足早に和室に入って行き、春山先生の上着を手に戻って来た。 「分かりました。これからすぐ向かいます」  電話を切った先生が、わたしの方を振り返る。
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