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 祐希はふと首を傾げ、 「でも、なんかさあ。 春山先生、俺に対しては優しいけど、姉ちゃんにはちょいちょいイジワルするよね。あれって、なんで?」 「……それは……」  こっちが聞きたい。 「もう、いいでしょ。とにかくこれで先生は合格したんだし、お父さんとお母さんに内緒にするっていう約束、守ってよね」 「いや。俺、まだ許したわけじゃないよ、先生との交際」 「…はいっ?」 「まだ俺、半信半疑なんだよね。 だってあんないい男が普通、姉ちゃんごときに本気になるわけないもん。 他にいくらでもいい女が寄って来てるはずなのに、なんで姉ちゃんを選んだのか、不思議だと思わない?」 「……」  祐希は勢いをつけてベッドから立ち上がり、ぐうの音も出ないわたしを見下ろした。 「そういうことで、謎を解明するまでは俺もデートについて行くことに決めたから。 ちゃんともれなく報告してね。俺も春山先生に会いたいし。よろしくっ」  祐希は、入って来た時とは正反対の軽い足取りで部屋から出て行った。 「……」  ――結局、大好きになってるじゃん、春山先生のこと。  しかも爽やかにわたしのこと凹ませて……。
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