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はくしょん、という大きなくしゃみでわたしは目を覚ました。
がばっと身体を起こすと、寒さにぶるっと震えが走る。
慌てて布団を引っ張って頭から被り、時計を見上げると、あれから1時間半が経過していた。
…あれ?今のくしゃみ、わたし…?
髪の毛に触れると、まだしっとりと湿っている。
…ドライヤーかけないと、風邪ひいちゃいそう…。
でも、こんな夜中にひとりで1階に降りるのは、何となく怖いし…。
部屋の電気を消してこのまま寝るか、それとも階下に降りようかどうしようか、迷っていると、
「はくしょん!」
「……」
わたしは凍りついたまま窓の外を見た。
――今のは、……確かにわたしじゃない。
寒さのせいではない鳥肌が、全身を波立たせた。
――すぐそこに誰かが居る……!
わたしは頭から布団を被ったまま、そろそろとベッドから抜け出した。
布団を引きずりながら、窓際に移動する。
そっとカーテンの隙間から外を覗くと――。
塀の上に腰掛け、こちらを窺う人影。
「きゃあっ!!」
思わず後ずさり、かかとで布団を踏んで倒れ、思い切り尻もちをつく。
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