-1-

6/10
前へ
/36ページ
次へ
「いった……っ」  くるまっていた布団の上に着地したとはいえ、お尻にかなりのダメージを受け、わたしはしばし1人、うずくまった。  そこに勢いよくドアが開き、祐希が飛び込んで来る。 「姉ちゃん、どうしたの!!」  わたしは四つん這いのまま、震える指を窓に向けた。 「祐希、…そこ…窓の外、見て…。誰か、いる…っ」  泣きそうな声で言うと、祐希がもっと泣きそうになって、わたしの背中に隠れた。 「なになになにっ、オバケ?なに?ねーちゃん、なになにっ」 「ちょっ、祐希!ずるい!わたしの後ろに隠れないでよっ」 「だって、怖いんだもんっ」 「祐希、男でしょ!」 「男だけど、まだ13歳だもんっ。児童だもんっ」 「こんなときばっかり可愛い子ぶってもダメ!!」 「姉ちゃん、一回見たんだから、ついでにもう一回見てみてよお」 「ヤダヤダっ。祐希、見てよぉ。…ちょ、ちょっと、布団、入って来ないでっ!」 「なんでだよ、俺も入れてよっ」 2人でくねくねと身体を押し合っていると、突然ブーンという音が響いた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1200人が本棚に入れています
本棚に追加