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 思わず抱き合い、ひゃっと悲鳴を上げる。 「な、なんだ、携帯…」  わたしは急いで布団から出て、机の上の携帯を手に取った。  発信者の名前を見て、…そのまま、机の上に戻す。 「出ないの、姉ちゃん」 「うん、出ないの」  耳障りな振動が止むと、突然、窓ガラスにカコン、と何かが当たる音。 「うひゃあっ!!」  2人で再び悲鳴を上げ、抱き合う。 「どうしよう…。け、警察…」 「まず、かーさん達を起こして…」  コンコン、という、窓ガラスをノックする音。 「ちょっと!…萌ちゃん!」  続いて、押し殺したような声が、ガラス窓の向こうから聞こえた。 「……」  …この声…。  わたしは立ち上がり、スタスタとカーテンに近づいた。 「ねーちゃん!?」  驚く祐希の声を背中に受け、わたしはカーテンをシャッと開けた。  塀に立ち上がり、窓に手をついて笑顔を見せるのは…。 「白井さん…」  窓ガラスに、わたしの心からうんざりした顔が映った。  
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