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パジャマの上にコートを羽織って表に出ると、白井さんが門のすぐ側で待っていた。
階段を降り、門を閉じたまま、精一杯の睨みを利かせる。
「なに、やってるんですか」
「だって、萌ちゃん、全然電話にでてくれないからさあ」
わたしがうたた寝している間に、白井さんからの着信が10件ほど残されていた。
「気付かず寝ていたわたしも悪いけど、…塀をよじ登って窓を叩くなんて…。
お巡りさんに見つかったら、捕まっちゃいますよ。落ちたら危ないし」
「心配してくれるの、萌ちゃんは優しいねえ。」
「信じられないような行動、するからでしょっ。…ていうか、どうしてわたしの家、知ってるんですか」
聞いてから、ハッとする。
「…まさか、…わたしのこと、尾行したの…?」
「ハハッ。やっぱ、鋭いね、萌ちゃんは」
わたしは呆気に取られた。
信じられない…!
無邪気な笑顔が、さらに怒りを増幅させる。
「もう、…最低!…白井さんなんかもう知らないっ」
「お、いいねえ。萌ちゃんに罵られるの、俺、嫌いじゃないなあ」
そこに、わたしの後から、上着を着た祐希がトタトタと降りて来た。
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