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「ねえちゃん、なに、この怪しいひと」
「さあ、知らないひとみたい。行こう、祐希」
祐希の腕を引っ張って階段を上がろうとすると、白井さんが慌ててわたしのコートのフードを掴んだ。
「待って待って!…今日は、遊びに来たわけじゃないんだよ!」
「やっ、やだっ。離して!」
わたしがじたばたすると、祐希が白井さんの腕にしがみつく。
「姉ちゃんを離せっ!」
祐希の攻撃では全く歯が立たず、白井さんはすごい力で祐希ごとわたしの身体を引き寄せた。
3人の顔が、一気に近づく。
「萌ちゃん、今日の火事で学園の生徒が一人病院に運び込まれてるって、知ってる?」
「え…っ」
わたしは言葉を失った。
「知らないよね。…俺も、たまたま現場に居合わせなかったら掴めなかった情報だから」
「…うそ…。…誰か、怪我したの…?」
「…君のクラスに、十和田裕史くんて、いるだろ?」
「…ヒロシくん…!?」
わたしは白井さんの腕を掴んでいた。
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