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「ヒロシくんが…ヒロシくんが、どうしたのっ。 無事なの!?…どこか、やけどしたのっ?」
「俺も、詳しくは分からないんだ。だから今から、病院に行こうと思ってるんだけど。…俺が一人で行っても、到底会わせてはもらえないと思うんだよね」
白井さんはわたしの表情を窺いながら、ゆっくりと言葉を並べていった。
「…クラスメイトの萌ちゃんなら、ヒロシくんの親御さんにひとこと言えば、会えるんじゃないかと思ってさ。
…今から、一緒にお見舞いに行こうよ。ヒロシくんのこと、心配でしょ?」
わたしは唇を噛んで、考え込んだ。
もし、白井さんと一緒に病院に行けば、…もう彼とは関わるなという、春山先生との約束を破ることになる。
でも、…ヒロシくんが今、どういう状態なのかと思うと、心配で居ても立ってもいられない。
考えるまでもなく、わたしの気持ちは決まっていた。
「祐希」
「え?」
「一緒に、行ってくれる…?」
「…どこに?」
「病院。…この人の車に、わたし、一人で乗り込むわけにいかないから…」
「仲良くしようね、祐希くん」
白井さんが、にっこりと祐希に笑いかけた。
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